2024年1月11日木曜日

M-1から学ぶ、お店のリピーター増加オペレーションの設計

 


年末に決勝戦が行われるM-1グランプリを毎年楽しみにしているのですが、エントリーしている彼らの多くは、ただ闇雲に面白い漫才をしようと頑張っているのではありません。4分という限られた時間で、いかに多く、いかに大きな笑いを獲得するかを突き詰めながら日々ネタをブラッシュアップしています。

スタートからできるだけ早く最初の「ツカミ」で言葉通り観客の心をつかみ、そこから目まぐるしい数のボケを緻密に計算されたテンポで放つことで場を支配し、会場を大いに沸かせたまま畳み掛けるように最後まで駆け抜けるから「なにこのコンビ、めっちゃオモロいやん!」になるのだと思います。

彼らプロの漫才師さんにかかれば、笑いは自在に設計できるといっても過言ではありません。どんな話の流れで、どんなフレーズを、どんな風に言えばウケるのか、それを解っているから多くの人を大笑いさせ、次のネタも観たいと思わせるのでしょう。

実は、多くのお客さんからリピートされるお店のオペレーション設計も、考え方はM-1ネタのブラッシュアップと同じです。多くの人に「また観たい」と思わせる笑いが「設計」できるのと同様、多くの来店者に「また来たい」と思わせる店舗オペレーションは、もちろん「設計」できます。


エグい安売りでもしない限り、それだけでお客さんが「また来ます!」と言ってくれるような一撃必殺の技は存在しません。お客さんが来店から退店までの間に店内で体験する様々な場面や状況において、好印象を地道に少しずつ、しかし確実に積み上げていき、最後に「この店また来よう」と思って頂けるように店舗のオペレーションを整備するだけです。

店舗外観の印象、入口の印象、入店時のお店の雰囲気、スタッフの挨拶や姿勢、店内の印象、働くスタッフの雰囲気、商品の見せ方、注文時の印象、スタッフの受け答え、待ってる間の印象、トイレの印象、会計時の印象、商品を受け取った時の印象、退店時の印象、お店についての情報を提供するチャンス、お店とつながるチャンス、商品満足度を上げるチャンス、スタッフの印象を上げるチャンス、などなど。
細かいシチュエーションを考えれば、お客さんに好印象を与えるチャンスはもっとあるでしょう。

イメージしやすい例でいえば、お客さんが入店した時、お店のスタッフはどういう声、どういう姿勢、どういう態度で「いらっしゃいませ」といえば印象がいいか、ということです。居酒屋とブティックでは違います。お店のイメージにマッチし、なおかつお客様が歓待されていると実感できる、親近感のあるスタッフの立ち居振る舞いがどういうものかは、おおよその見当がついているはずです。これを来店中のお客さんのすべてのシチュエーションで検証、定義します。

いきなりベストアンサーは出ないかもしれませんが問題ありません。ベストアンサーを探る過程で、お客さんの印象を悪くするバッドアンサーの例がいくつも出てくると思います。その情報をスタッフと共有できるだけでも価値は充分にあります。バッドアンサーはすべて、お客さんをムカつかせお店から遠ざける地雷です。それを地雷だと認識していないお店が、お客さんの離反を生んでいるのが現実です。


こうして店舗のオペレーションを見直し、ブラッシュアップを繰り返し標準化を図ると、ファンの多いお店、つまり「行けばたいていの人が好きになるお店」が誕生します。こう言うとずいぶんハイレベルなお店を作ったかのように聞こえますが、笑顔で話しかけられると気持ちいい、目を見て話されると信頼できる、優しくされるとうれしい、こういう「誰でもそうだよね?」が行けば必ずあるお店、というだけのことなのです。

初めて来店したお客さんに「この店また来ようっと!」と思ってもらえる店舗オペレーションは、少し手間をかければ誰にでも「設計」できるということを覚えておいてください。

https://www.impact-m.net/lp/tenpo-top